愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 だがやはりアルドは見つめるだけで動かない。

 仕方なく彼の上の服に手をかけると、抵抗するつもりはないようで簡単に脱がされてはくれた。が。

“まさかこれ、私が最後まで全部するの!?”

 彼と肌を重ねるのははじめてじゃない。
 だから恥ずかしがることなど何もなく、以前されたことを私主導ですればいいだけなのだと頭の中では理解しているのだが、羞恥からかどうしても躊躇いが生まれてしまう。

「…………」
「…………」

 謎の沈黙が私たちを包み、チラリと彼の表情を覗き見ようとしたら私を見上げるアルドとバチッと目が合った。

「も、やればいいんでしょ!? やれば!」

 バクバクと早鐘を打つ鼓動を誤魔化すようにそう口にして、勢いに任せて向かい合うように彼の膝へと腰を下ろす。

“さっき弄られた方の乳首だけ勃ってる……”

 見せつけるように彼の眼前に胸を出し、触れられるのを待つが一向にアルドは動かない。

「どうして欲しいか言わなきゃやらないぞ」
「……! ちょ、性格悪くなったんじゃない!?」
「さぁ。セヴィーナの方がたち悪いと思うけど」
「何よそれ! 私の性格の方が悪いってこと!?」
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