愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

30.味方が、貴方だったなら

「どういうことだと思います?」
「相談相手は私で間違いございませんか?」

 選抜大会二日目。
 こんなはずではなかったのにうっかり初戦で敗退してしまった私は、相変わらず変装も兼ねて見習い騎士の格好をし護衛についてくれているベルモント卿と目立たないよう端に立っていた。

 目だけはしっかりと試合の方を見るが、まだ人数を減らす段階ということもあり合間合間で雑談をする……ついでに先日のアルドとのことを相談したら、そんな返答をされる。

「間違ってないわ、ベルモント卿はアルドの剣の師だと聞いたもの。つまり誰よりも本音でぶつかってきたのではなくて?」

 口には出さずとも剣には必ず出る。
 だからこそ一番剣を交えただろうベルモント卿が、アルドの本音には一番詳しいのではないかと考えたのだ。

「それはそうですが……、教え子とはいえ仕えるべき方の夜の情事を聞かされるとは」

“だめだったかしら”

 気まずそうに頬を搔くベルモント卿を見て少し焦る。
 もちろんどのような行為を好んでいるかなどの趣向の部分は伝えてはいない。

“けど、色々口で言わせようとしてたとかは言っちゃったわね”
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