愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 もしかしたらこれは後程アルドに謝らなくてはならない案件なのかも、と少し慌てつつ言ってしまったものは仕方ないのでベルモント卿の考えを黙って待った。

 
「夫婦間のことですから、たまにはいつもと違うことをするのもいいとは思いますが……そういう感じじゃなかったんですよね?」
「そ、そうね。突然何かを考え込んだかと思ったら、なんだか拗ねたようになっちゃって……」
「ということは、拗ねるようなことがあったということでしょう。拗ねて部屋を出ていくのではなく行為に及んでいることから、殿下の嫉妬やヤキモチかと思われますが、何か心当たりはありませんか?」

“流石ね、冷静な分析だわ……!”

 だがアルドが嫉妬やヤキモチを妬くようなことがあったか、と言われればそこは首を傾げてしまう。

「普通にこの選抜大会の話をして……あと、場外失格になってしまった話をしたわ」

 だがその話をした時は、お腹を抱えて笑っていたはずだ。
 それに選抜大会で負けた話のどこでヤキモチを妬いたのかと聞かれればただただ疑問である。

 
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