愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「はい?」
「あ! も、もちろん違うわよ!?」

 思わず口を出たその言葉にベルモント卿がギョッとし、私も大慌てで弁解する。

「この場にいた理由を客観的に見たらそうなるなって思っただけで……実際、ジークは絶対そんなことをしないと断言できるわ! もしお父様たちからそんな依頼をされたら追っ手ごと叩き斬って国を出るような人だもの」
「それは、本当ですか?」
「もちろんよ! というかそもそも流れの傭兵だったジークを私が護衛に……」
「ジークがいたというのは、本当なんですか!?」
「へ?」

 てっきりジークの人柄を確認されていると思っただけに、ベルモント卿のその反応に私はきょとんとしてしまう。

 
「ベルモント卿ってジークと知り合いだったの?」
「そもそもジークの愛弟子だと知っていたからこそ妃殿下の決闘も許可を出したんですけどね」

“そうだったの!?”

 確かにあまりにもあっさり許可が下りたなとは思っていた。
 その理由がまさかジークの弟子だったからだとは。

“というか、そこまで信頼されるくらいジークと親しかったの?”
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