愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 ジークの弟子ならばちゃんと実力もある。そう思って貰えたことを喜ぶべきか、いわば敵国であったグランジュの騎士団長からそこまで信頼を得ているジークに驚くべきなのか。

 
 若干混乱しつつも、ジークと知り合いなら逆に都合がいい。

 昨日アルドに相談できなかったことを聞いて貰えるのでは、と思った私は試合そっちのけでベルモント卿の方へと向き直る。
 

「ねぇ、もしリヒテンベルンの騎士がこそこそとしていたら、どう思う?」
「またか、とは思いますね」
「そうよね、その程度の認識よね」

 何度も一方的に小競り合いを仕掛けてきたリヒテンベルン。 
 今までがそうだったのだから、また、と思われてもおかしくはない。
 
 強者側はグランジュなのだ、人質をリヒテンベルンが見捨てたと思われるだけで混乱したりもないだろう。

“というか、表向きはあくまでも友好国なのに本当にリヒテンベルンは何がしたいの……!”

『またか』で終わらせられてしまう程度の祖国に、そしてその祖国の行動に羞恥を覚えるが、そこを恥じるより先に私には確認したいことがあった。
 
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