愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「じゃあ、こそこそしている騎士が捕まったら次はどうなる?」
「抵抗するならその場で斬ります。何を企み仕掛けられても強いのはこちらですから」

“その通りだわ。これだけの軍事力の差があるならなんとしても口を割らせなくては、とはならないもの”

 ベルモント卿のその端的な説明に私も同意を込めてゆっくり頷く。

 迎え撃ち、そして撃退させる力と余裕があるなら、どこまで本当の作戦を知っているかわからない一人に固執する必要はない。

 それはつまり、王女の専属護衛だったとしても平民出の元傭兵であるジークがスパイだと思われれば、弁解する暇なく斬り捨てられる可能性があるということだった。


 その嫌な事実にサァッと血の気が引く。
 そしてそんな私の表情に、同じく顔を青ざめたベルモント卿が恐る恐る口を開く。

「まさか、ジークにそんな疑いが?」
「私は違うと断言するわ。さっきも言ったけど、そんなことをさせられるくらいなら国を出る人よ。でも、私に気付いたはずなのに何故か逃げてしまったの」

 私の言葉に考え込むベルモント卿。
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