愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
“どんな内容かはわからないが、相談するならベルモント卿より先に俺にして欲しかったものだな”

 だからこそ次はまず俺に話してくれるように。

 
「想いを伝えることから始めるか」

 そう呟いて、俺はセヴィーナがベルモント卿と共に消えた路地へと足を踏み出したのだった。


 ◇◇◇


「ジークとはどこで知り合ったの?」

 何が目的かはわからない。
 だからこそ変な疑いをかけられる前にジークを探すことにした私とベルモント卿は、昨日ジークが消えた裏路地を中心にキョロキョロと周囲を見回しながら歩きつつ、ずっと気になっていたことを質問する。

「正直こんな大国の騎士団長と、流れの傭兵だったジークが仲良くなる想像がつかないのよね」

 もし彼がどこかの貴族のお抱え騎士団の団長だったのならば、任務の補充人員として雇われ出会うということはあり得るだろう。

 もしくはジークが流れの傭兵ではなくある地域に根付いていたならば、その土地に詳しい人間として騎士団から招集される可能性だってある。

 だが実際の二人はそうではないのだ。

“どう考えても接点が思い付かないのよね”
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