愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「最後まで振り回されっぱなしで、でも、それと同時に楽しかった。また『遊びたい』と、思わされるくらいには」

 そう言って笑うベルモント卿の表情から、それが彼の本心なのだと察する。
 責任と重圧のある立場の彼からすれば、ジークの行動全てがもしかしたら自由でキラキラに見えたのかもしれない。

「その後は妃殿下もご存じの通りです。いつの間にかジークは流れの傭兵を辞めて王女の専属護衛になりました。ジークが専属になるなんて、と正直驚いたのですが……」

 じっとベルモント卿に見つめられると少し居心地が悪く、ついその視線から逃げるようにジークを探す振りをして顔を背ける。

「妃殿下を見て納得しました。面白いものを見つけたんだな、と」
「ベルモント卿もなかなかに失礼ね!?」

 告げられた言葉に思わず噛み付くと、ふはっと彼が吹き出した。
 その表情は、騎士団長というよりももっと幼く純粋な少年のようにも見える。

「それくらい、私の中では大きい存在になっていたということです」
「まぁ、ジークが専属になり、更には剣も教えるくらいの素晴らしい人材だったと思っておくわ」
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