愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

4.勝った方が勝ちなのである

「無理やり頼んでおいてアレなのだけれど、ミィナは仕事とか大丈夫だったの?」

 暇よね、なんて言って無理やり付き合わせているのは私だが、仕事中の彼女に迷惑をかけていることは自覚している。

 彼女が私の専属侍女なのであれば問題はないが、残念ながら私にはまだ専属侍女がいない。
 もしいれば侍女長が紹介してくれるのだろうが――

“そもそもその侍女長が挨拶に来ないんだもの”

 相変わらず私にはまだ味方がいないのだと痛感させられた。

 彼女たちが案内をしてくれなければ私にはどこに何があるのかはわからず、うっかり迷えば自室へも戻れないかもしれない。
 そんな中唯一顔見知りとなり、メイドの仕事をしてくれたミィナに固執してしまうのも無理はないというものだろう。

 だがそれは私側の話で、そもそも好かれていない所詮人質の私に付き合って後ほど彼女が叱られては大変だ。

「もしよかったら、案内役としてミィナを貸してくれるよう交渉しに行くわよ?」
「あ、付き合わされるのは確定なんですね……」
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