愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
“そ、そうよ、皆に見られてたんだったわ!?”

 ハッと思った時にはもう遅く、再び顔を隠すように深くフードを被っていたジークと、完全に無視して仕事をしているダレアとベルモント卿。
 アルドたちと来たらしい騎士たちは、気まずそうに顔を背けながらベルモント卿の指示で男たちを拘束して待っていた。


 湧きあがる羞恥に耐えながらアルドと少し距離を取り皆の方へと向き直る。
 そして拘束されている騎士の顔を改めて確認した。

「グランジュの騎士を名乗っていたけど……リヒテンベルンの騎士ね」

 私がポツリとそう溢すと、ジークが頷いてくれた。

「姫様の暗殺任務で潜入しました」

 ハッキリとそう口にしたのは彼らと同じローブを着ているジークだ。
 そしてジークの言葉にピクリとアルドが反応する。

「それは、お前もその任務を受けて来ているのか?」
「そうですよ。ただ、勘違いしないで欲しいのは私はリヒテンベルンの騎士ではなく姫様の騎士なんで」

 ジークとアルドの間にピリッとした空気が流れるが、意外にもその間に入ったのはベルモント卿だった。
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