愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

34.温かい夜に溶けるなら

「でも、まさかベルモント卿がジークを好きだったなんて」
「俺としてはジークが女騎士だったことが一番衝撃だったけどな」
「あら、それを知らなかったのはアルドだけじゃない」

 あの襲撃からアルドは尋問や国内へと侵入した経路の強化などの後始末に慌ただしくし、私も私自身の護衛騎士選抜大会でばたばたとしていたため、こうやってアルドと話すのが久しぶりだった。

“十日ぶりね”

 この会えていなかった十日は思ったよりもいろいろなことがあった。
 まず、リヒテンベルンの目的がわかったこと。

 その目的は、あの時ジークが言っていたように私の暗殺任務だった。

“それも、グランジュの騎士として暗殺する予定だったなんて”

 ベルモント卿が男たちと相対した時に確かに『グランジュの騎士だ』と名乗っていたし、それにジークが受けた依頼とアルドが捕まえたリヒテンベルンの騎士の口を割らせて裏取りもしたので間違いないだろう。

「やっぱり戦争を起こすのが目的なのかしら」
「だろうな」

 グランジュへ嫁いだリヒテンベルンの王女が、グランジュの騎士に殺害される。
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