愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 リヒテンベルンにいた元騎士ということで受理されないかと思ったが、現在国王代理を務めている王太子のアルドが判を押したことで想像以上に簡単に認められ、逆に拍子抜けしてしまったくらいである。

 二人の結婚で問題があったとすれば、想像以上に人気だったらしいベルモント卿の電撃結婚でいたるところから悲鳴が上がったくらいだが――

“ジークって格好いいのよね”

 何人かがジークの元に直接来たらしいが、何故か帰りには自身の味方につけていた。
 同性ということで心理的壁が少ないからか、面白いくらいにベルモント卿に失恋した令嬢を虜にし、ベルモント卿の方が嫉妬しているともっぱらの噂である。

 平和に仲良くやっているようなので構わないが。


「それより、セヴィーナは護衛があいつでよかったのか?」
「勝ち残ったんだから仕方ないわよ」
 
 はぁ、とため息を吐いたアルドにそう聞かれ、私は頷く。

“こういうアルドの気持ちもわからないでもないんだけどね”

 何故なら私の護衛騎士は、なんと私が初めて第一騎士団へ行った時に私を見下し喧嘩を売った挙句、あっさりと敗北したあの生意気新人騎士なのである。
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