愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
最終章:それぞれの最善とハッピーエンドのそのために

35.はじまりの情報共有を

「お嬢様、支度が整いました」
「……」
「お嬢様、おじょ、セヴィーナ様!!」
「はっ、ごめんミィナ! うっわぁ、今日は私すっごく清楚じゃない!?」
「その反応で清楚さは半減しましたけどね」

 ムスッとした表情のミィナだが、彼女の頬が徐々に緩んでいくところを見るとどうやら私の着せ替えが楽しかったらしい。
 そんなミィナの様子に私からも笑みが溢れる。

 それに今日はなんとミィナが専属侍女になって初めてのドレス着用なのだ。

“でも訓練着じゃないとちょっと落ち着かないわね”
 
 ここ最近は朝一番から騎士の訓練に参加するためいつもは訓練着を着ていたのだが、今日だけは特別だった。

「まだ朝ですので爽やかに見えるよう淡い緑で全体を纏めました。細部に使われているリボンは王太子殿下の瞳の色を模しております」
「薄さも気に入ったわ、この薄さなら有事の際にはいつでもドレスを破って走り出せるわね」
「……走れないよう本日はヒールの高い靴をご用意いたします」
「いいわね! 武器になるものは大歓迎よ」
「今から行くのは議題室です、王都の、王城のど真ん中ですよ!」
「じょ、冗談よ」
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