愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 プリプリとするミィナが可愛くてつい反応を楽しんでしまった私は、流石にやりすぎたかとごほんと咳払いをした。

“それにしても、議題室か”

 主に有力貴族たちが集まり話し合う場所として使われているそこに、人質としてこの国に嫁いだ私が行くことになるだなんて、この国に来た時は思いもよらなかった。

 そもそもそういった重要な場所にはリヒテンベルンにいた頃も呼ばれたことはない。

 だからこそ今こうやって呼ばれたということが嬉しくもあり、だがそれ以上に不安もあって――

「準備出来たか?」
「アルド!」

 ノックをし顔を覗かせたアルドは、ドレス姿の私を見てぽかんと口を開けた。

「どうかしら?」
「いや……、なんか、見慣れないな」
「ちょっと!」

 反射的に睨むと、小さく彼が笑いを溢す。

「似合ってないとは言ってない」

 笑いながらアルドがエスコートすべく腕を出してくれる。
 そのままにこりと微笑まれると、それ以上文句を言う気にはならなかった。
 

“わざわざ迎えに来てくれたのね”
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