愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
“でも、不思議と嫌ではないのよね”

 きっとそれはこの二人がなんだかんだ口では文句を言いながらも真正面から向き合ってくれるからかもしれない。

 そんなことを考えていると、いつの間にか目的地である議題室の前まで来ていた。
 
 ここに集まっているのはアルドの側近のダレアに、グランジュの王女であるモニカと彼女の婚約者のクリストフ卿、そして第一騎士団団長のベルモント卿と、なんとそのベルモント卿としれっと電撃結婚した私の元護衛騎士であるジーク。
 更に私と王太子のアルドが合流し、会議が始まる。

 
 このメンツで集まるとなれば議題はひとつ。

“先日起こったリヒテンベルンによる私の暗殺について、ね”

 
 リヒテンベルンから送り込まれた暗殺者はグランジュの騎士を名乗っていた。
 
「表向きは友好国だものね。何か名目が無ければ戦争は仕掛けられないわ」

 だからこそ私の暗殺という戦争のキッカケを作りたかったのだろう。
 
 いつものいちゃもんでは小競り合いを仕掛けるのが限界で、その小競り合いですら軽くあしらわれているのにリヒテンベルンが大々的な名目での戦争を望む、その理由。

< 287 / 340 >

この作品をシェア

pagetop