愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

36.それぞれの戦場

 弱小国として相手にされていないリヒテンベルン。
 だがもし大国グランジュを下せば?

 それは国の威厳を証明し、国としての大いなる一歩となる。

 
“どうせ甘い言葉を囁かれてその気になったんだわ”

 戦争が起きればリヒテンベルンへ友好の証として兵を送りましょう、とでも言われたのだろう。
 グランジュと同じく大国であるメイベルク王国の後ろ盾があるならば、こんな無謀な戦争を仕掛けたことにも納得が出来る。

 
「でもメイベルク王国には何のメリットがあるのかしら」

 リヒテンベルンとは違い、メイベルク王国には弱小国であるリヒテンベルンを助けるメリットがあるとは思えない。
 思わず首を傾げた私だったが、その疑問に答えを示したのはダレアだった。

「きっと実際には援軍なんて送るつもりはないのでしょう。そう考えればメリットしかありません」
「メイベルク王国からすればリヒテンベルンがどうなろうとどうでもいいんだろうな。侵略されても構わないし、万一グランジュが手こずったり被害を出せばラッキーだ」
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