愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「諦めてくれる根拠は? すでに仕掛ける準備は整っていて、この戦争が最終確認程度の意味しかないのならば逆にすぐグランジュへの攻撃を開始するかもしれない。そうなれば両陛下は一番に殺されるでしょう」
「……!」

 ハッキリと言葉にしたその恐ろしい可能性に皆が口をつぐむ。

「でももしリヒテンベルンとグランジュの戦争が起こったのなら」
「最高のタイミングで攻撃を仕掛けるために、必ず様子見の時間が稼げるのか」
「メイベルク王国とグランジュが真正面からぶつかれば軍配が上がるのはグランジュだわ。だからこそこんな回りくどい方法で自国の被害を少しでも減らし確実にグランジュを叩くための作戦だったはずよ」

 私のその推測に誰もが息を呑んだ。

“私の考えすぎならいいんだけど”

 だがこういう場合は最悪を想定して動くべきだから。

「メイベルク王国側はもう戦争をする準備が整っている前提で行動すべきということですね」

 私の最悪な推測を的確に読み取ってくれたダレアがそう言うと、その場が静まり返った。

 
「なら、グランジュの貴族の中でメイベルク王国と通じている貴族がいるという最悪の想定もするべきだな」
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