愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 まるで静けさを破るようにアルドがそう提案する。
 

「もしリヒテンベルンとの戦争が起こった場合、そこに兵を集中させるべきだと提案してくる貴族がいるはずだ」
「まさか」
「圧勝するためにと進言する貴族と、密かにメイベルク王国と繋がっていて城の守りを減らすという狙いを持っている貴族だ」

 前者ならば問題ない。今こそ格の違いを見せつけるべきだという気持ちはわからなくもないからだ。

“でも後者は違うわ”

 まさにそれは反逆だった。
 

 進言してくる貴族の繋がりの真意を探る。
 戦争というのは剣で戦う以上に情報という武器がモノを言う。

 正確な情報を集め、真意を読みこちらの心を読ませてはならない。
 精神力が削られる第一の戦線。
 
「ならばそこは私の戦場ですわ、お兄様」

 静かに、だが覚悟を決めたモニカがそう宣言した。

「情報を集めるならば社交界。私以外に適任はおりません」
「モニカ様は俺の命に代えてもお守りします」

 その彼女の宣言に合わせ、クリストフ卿もそう宣言する。

“情報を探るとそれだけ暗殺のリスクが上がるわ”
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