愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「王宮第一騎士団の団長のベルモント・アーシャです」
「よろしく、ベルモント卿。セヴィーナ・グランジュです。私もご一緒していいかしら?」
「もちろんです」

 ベルモント卿が即答で許可をしてくれたことに安堵し思わず頬が緩む。

 団長の後ろで微妙そうな顔をしている騎士たちもいるが、きっと一緒に訓練を積めば仲間意識も芽生えるはずだと考えた私は心からの笑顔を浮かべる。

 そしてそのままバサリとドレスを脱ぎ捨てた。
 
「体が鈍りそうで心配だったの、助かったわ」
「近くは危ないですので、少し離れたところに椅子を用意致しま……は!?」
「お、お嬢様ッ!」
「うっ、うわぁぁあ!?」

 ギョッとした面々に思わずきょとんとしてしまう。

「……私、ご一緒していいかと確認したはずだけど」
「え!? いや、それはそうなのですが……!」

“訓練を一緒にするとは思わなかったのかしら”

 不思議に思いながら脱いだドレスを拾いミィナへと渡すと、放心しながら受け取ったミィナはすぐにハッとして私を睨んだ。

「こ、こんなところで脱ぐなんて何を考えているんですか!」
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