愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

37.いざ、決戦へ

「セヴィーナ」

 一番距離を移動しなくてはならない奪還作戦組である私とジーク、ランドルは議題室を出てすぐに出発の準備をすることになった。
 そんな私を呼び止めたのはもちろんアルドである。

「どうし……、わっ」

 ツカツカと距離を一気に縮めたアルドがそのまま私を強く抱きしめたのだ。

「王太子として行くなとは言えない。だがただの俺としては一番安全な場所にいて欲しい」
「なら、私はこの腕の中から出ないから、アルドもリヒテンベルンとの戦争には行けないわね」
「ここでそんな可愛いことを言うのか」

 くくっと小さく笑ったアルドは、私を抱きしめる腕を一瞬強くし、そして腕を離す。

「……約束、覚えてる?」
「約束?」
「私の夫は貴方だけだし貴方の妻も私だけ。もちろんアルドの子を産むのも私なの」

 だから。

「私も、アルドも。他のみんなも誰一人欠けることなくまた笑ってここに帰るわよ」
「あぁ。必ず戻れ。俺も必ず戻るから」
「義両親との初対面がこんな形だなんて、それが一番心配よ」
「普段のセヴィーナを最初に見られるより絶対好印象だから安心しろ」
「どういう意味よ!?」
「ははっ」
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