愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 気絶させた門番を拘束し目立たないところへ移動させたあと、私たち三人は何事もないふりをしてメイベルク王国へと入国した。

“リヒテンベルンのローブが手に入ってよかったわ”

 なんの変哲もないローブではあるが、私の暗殺任務で来た犯人たちの来ていたローブだ。
 このローブのお陰で中を覗かれなければメイベルク王国を少しは誤魔化せるだろう。

 
 あまり目立たないように走ること一時間。
 一際大きくそびえ立っているそここそがこの作戦の目的地でもある両陛下が滞在されているという王城だった。

「グランジュのお城も大きいけど、メイベルク王国のも大きいわね」
「センスはグランジュが圧勝ですけどね」

 白をベースにしシンプルな作りをしているグランジュの王城は、庭園が多く色鮮やかな花が常に咲き誇っている。
 むしろ花を魅せたいがために城をシンプルにしたのではと思うほどなのだが、逆にメイベルク王国は金で出来た大きなオブジェクトが多くギラギラとしていた。

「まぁそこは仕方ないけどなぁ、海が近いんだから」

 メイベルク王国は海に面している関係でその塩分や強い潮風により被害が出やすい。
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