愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 花などの植物はもちろん、城を飾るオブジェクトもそのひとつで、必然的に塩に強い金などが使われることが多い。

“それにそのお陰で簡単に王城に着けたのもありがたいわよね”

 本来なら安全を考えて国の中心部に位置することが多い王城だが、このメイベルク王国に関してはかなり国境沿いに建てられており、そのお陰で今回の短期決戦なんていう強行突破が出来るのだから。

「作戦はわかっているわね?」
「はい。しれっと入りこそっと連れ出すっていう雑なやつですよね」
「言い方ぁ……」

 だが、作戦がそれだけというのも事実だった。
 
“内部の状況がわからないもの、これ以上の作戦はたてれないわ”

 スパイを送り探らせる時間はない。
 時間との勝負でもあるため、ほぼぶっつけ本番。

「ま、だからこその少数精鋭ってね」
「えぇ!」

 私たちは互いに頷き合ったあと、王城内に入れる裏口を探す。
 見つけたかった使用人入り口は案外とあっさりと見つかり、またこのローブのお陰か歓迎こそされないものの、取り囲まれるようなこともなかった。

「このローブのお陰で思ったよりも順調ね」
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