愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「まぁ仕方ないさ。父上母上が貴賓として招かれ、また貴賓として扱われていたのも間違いないんだ」

 二人が無事に帰ってきたからこそ、その主張が通っているのだとわかっているだけに複雑な気持ちになった私が顔をしかめる。

 そんな私の顔を見て小さく笑ったアルドが、私の頬を摘まんで無理やり笑ったような口にさせた。

「にゃにすんにょよ」
「はは、表情固いなと思って。今回の功労者なんだから笑ってろよ」
「それはアルドもでしょ」


 約三倍差の数があったというリヒテンベルンとの抗争。
 あくまでも戦争や侵略ではなくこちらからの抗議という形を取るためにそれ以上の人員が出せなかったが、軽傷者は出したものの互いに大きな被害を出さず無事に任務を全うしたのだ。

「本当にアルドが無事で良かったわ」
「ベルモント卿なんかは部下の訓練の場にしてたぞ」
「それ聞いたわ! ジークがお腹を抱えて笑ってたもの」
「それに、これからはもうこんなこと無くなるだろうしな」
「そうね」

“何度も嫌がらせのような小競り合いを仕掛けてきていた理由もメイベルク王国に唆されただけだったみたいだし”
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