愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「で、どうなんですか?」
「どうって?」
「約束してたじゃないですか、恋するって」
「俺と、とは約束してない」
「誰でもいいって言ってましたよ」
「…………」

 サクッと指摘され黙り込む。
 ほぼ勢いに任せた売り言葉に買い言葉だった。

 もちろん彼女へ言った言葉は嘘ではなかったし、確かにダレアを選ばれでもしたら厄介だとは思ったが相手が誰にしろそれなりに応援するつもりでもいたのに。

“まさかの俺”

「俺だけはないよなぁ」

 立場のこともあるし失礼なことを言った自覚もある。
 態度をみるに彼女自身も俺に一目惚れしたというようなことはないのだろう。

 彼女の方こそ売り言葉に買い言葉ってやつな気がする。
 
 
「今からでも誰かいい相手を見付けてくれたらいいんだが」
「いっそ殿下も好きになる努力をしてみたらいいんじゃないですか?」

 さらりとされた提案に思わずぎょっとするが、確かにダレアの言っていることも一理ある。
 彼女のことを思っての提案だったのだ、彼女さえ構わないなら実際の夫婦になるのも悪くはないかもしれない。

「お互いに好きになれるか次第か?」
「王族同士の結婚ですよ?」
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