愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!

6.お忘れ物(私)が勝手について行きますね

「なるべく目立たない服をお願いできる?」
「目立たない服、ですか?」

 少し不思議そうな表情のミィナに昨晩のことを思い出しながら大きく頷く。

 ちなみにだが、当然昨晩もアルド殿下からの訪問はなかった。

“まぁ、それは予想通りよね”

 昨日の今日で突然来るはずがない、何かキッカケがなければ。
 そんな私の今日の目的はアルド殿下の視察についていくことである。

 視察を通し民からの支持を得ることでいつかキッカケのひとつになれば、という下心。

 
 ――もちろん、アルド殿下には気付かれずに、だが。

「なるべく目立たない……むしろ街に溶け込める服がいいわね」
「もう嫌な予感しかしないのですが」
「もちろんミィナにも着替えて貰うからね!」
「嫌な予感が確定になった気がしますが!?」

 私の発言に愕然としたミィナが顔を青くするが、私としても彼女しか知り合いがいないのだからここで引く訳にはいかない。

“もう少し騎士たちと仲良くなれればまた話は変わってくるとは思うのだけれど”

 流石に一日訓練を共にした程度では信頼関係は築けないだろう。
 
「大丈夫よ、貴女は私が守るから」
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