愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
第一章:選び、選ばれるように
1.指名させていただきます
本質は人質という立場だが、それでも表向きは嫁いで来たのだ。
だからこそ実家では得られなかった家族の愛を期待したっていいはず、なんて思ったけれど。
「愛人でも恋人でも好きに作って構わない」
「は……?」
あっさりとそう告げたのは、まさに今日この瞬間旦那様となったはずのグランジュの王太子、アルド殿下だった。
“あ、愛人って……”
思い切り笑顔が引き攣ったが、仕方ないだろう。
だって私は側妃ではなく正妃として嫁いできたはずで。
「俺は一切お前には触れない」
「わ、私が跡継ぎを産まなければ、誰が産むんですか」
動揺を抑えられず、自身のアッシュブロンドの髪を無意味に指先で弄びながらそう口にすると、ハァッとわざとらしいほどのため息を吐いてアルド殿下が顔を背けた。
赤褐色の髪にアーモンドカラーの瞳。
色合いとしては珍しくはないが、その通った鼻筋とじろりと睨む切れ長の瞳が冷酷でありながら整っている顔立ちだと言うことを実感させられる。
「次の妃が産むだろう」
「つ、次って、私を殺した後の妃ってこと!? 首を切って体は晒し、実家に送り返した後ってことね!?」
だからこそ実家では得られなかった家族の愛を期待したっていいはず、なんて思ったけれど。
「愛人でも恋人でも好きに作って構わない」
「は……?」
あっさりとそう告げたのは、まさに今日この瞬間旦那様となったはずのグランジュの王太子、アルド殿下だった。
“あ、愛人って……”
思い切り笑顔が引き攣ったが、仕方ないだろう。
だって私は側妃ではなく正妃として嫁いできたはずで。
「俺は一切お前には触れない」
「わ、私が跡継ぎを産まなければ、誰が産むんですか」
動揺を抑えられず、自身のアッシュブロンドの髪を無意味に指先で弄びながらそう口にすると、ハァッとわざとらしいほどのため息を吐いてアルド殿下が顔を背けた。
赤褐色の髪にアーモンドカラーの瞳。
色合いとしては珍しくはないが、その通った鼻筋とじろりと睨む切れ長の瞳が冷酷でありながら整っている顔立ちだと言うことを実感させられる。
「次の妃が産むだろう」
「つ、次って、私を殺した後の妃ってこと!? 首を切って体は晒し、実家に送り返した後ってことね!?」