愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
「私はこういう街の方が好きかも」

 もう今から視察に参加することは出来ないので、ミィナの体調が復活すればだが今日は二人で散策を楽しむのもいいかもしれない。

“こうやって子供たちが走り回れるのって、それだけ平和だからよね”

 駐屯所という安全な場所でミィナを休ませられているお陰で少し余裕の出来た私が街の雰囲気を楽しんでいた時だった。


「うわぁぁあっ! た、助けてぇ!」
「!?」

 突然男の子の叫び声がその場に響き、慌てて声の方へと駆け出すとそこには木から落ちそうになっている男の子。

“な、なんで!?”

 木の下には泣いている男の子もおり、叫び声を聞いた大人たちも徐々に集まってくるが、このままではいつ男の子の重さに枝が折れたっておかしくはない状況。
 受け身も取れずにあの高さを落下したら、ただでは済まないだろう。

「なるべく動かないで! すぐに助けるから!」

 私はそう声をかけ、目の前の木に走りよったのだった。
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