愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
貴方が守ってきた景色。そして私もこれから守る大切な景色。
「……私の部屋を作ってくれたのはアルド殿下だと聞いたの」
殿下の指示で飾られた故郷に似た景色の絵画。
「あの絵画の横に、グランジュの景色も飾りたいわ。だってここがこれからの私の帰る場所になるんだもの」
「わかった」
私の溢した言葉に短くそう返事が返ってくる。
広がる景色に見惚れて殿下の表情はわからなかったが、私の耳にはいつもより柔らかい声色に聞こえた。
「あと、ここの実だったな?」
「え?」
ふと思い出したようにそう問われ、思わず間抜けな声が私から漏れる。
私では届かなかった木の実にアルド殿下が手を伸ばし、一つもぎって渡してくれた。
“ミィナ!”
一瞬気を取られていたが、すぐに駐屯所で休んでいるミィナを思い出す。
「危ないから動くなよ、このまま俺がお前を抱えて下に降り……」
「ありがとうございます、助かりました!」
「なっ!?」
殿下から実を受け取った私はそのまま木から飛び降りた。
落下の衝撃を和らげるため受け身を取りつつ地面で転がり威力を殺してすぐに立ち上がる。
「……私の部屋を作ってくれたのはアルド殿下だと聞いたの」
殿下の指示で飾られた故郷に似た景色の絵画。
「あの絵画の横に、グランジュの景色も飾りたいわ。だってここがこれからの私の帰る場所になるんだもの」
「わかった」
私の溢した言葉に短くそう返事が返ってくる。
広がる景色に見惚れて殿下の表情はわからなかったが、私の耳にはいつもより柔らかい声色に聞こえた。
「あと、ここの実だったな?」
「え?」
ふと思い出したようにそう問われ、思わず間抜けな声が私から漏れる。
私では届かなかった木の実にアルド殿下が手を伸ばし、一つもぎって渡してくれた。
“ミィナ!”
一瞬気を取られていたが、すぐに駐屯所で休んでいるミィナを思い出す。
「危ないから動くなよ、このまま俺がお前を抱えて下に降り……」
「ありがとうございます、助かりました!」
「なっ!?」
殿下から実を受け取った私はそのまま木から飛び降りた。
落下の衝撃を和らげるため受け身を取りつつ地面で転がり威力を殺してすぐに立ち上がる。