愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 私の破れたスカートに気付いたミィナが顔を青ざめさせる。
 青くなったり戻ったりで大変そうだ。

「そ、そんな足を丸出しに、いやそれよりも怪我、怪我は……っ」
「かすり傷程度よ、問題ないわ」
「問題大ありですよ!」

 あわあわとするミィナに思わず和んでしまう。自分を心配してくれる人がいるというのは、私にとってはとても貴重でくすぐったいことだった。
 
 スカートも、破れたと言ってもあくまで裾の方で、膝下が露になっているだけである。
 太股まで全開だったら流石にそれはちょっとはしたないとは思うが、この程度なら恥ずかしがるほどでもない。

「でも確かにこの格好での視察は無理よね」

 そう気付いた私が気落ちしながらそう呟くと、落ち込んだ様子の私に気付いたのかアルド殿下がわざとらしく咳払いをした。

「あー、まぁ今回の視察は急を要するものではない。王城からもそこまで遠くはないし、出直せばいいだろう」
「出直す?」
「流石に体調不良者をこのまま預けて続けるわけにもいかないからな」

“それって次はこっそりじゃなくちゃんと同行していいってこと?”
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