愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
10.帰る場所はどこですか
「は?」
どこか死んだような目を向けられ思わず怯むが、仕方ない。
“だってお金を持ってないんだもの!”
アルド殿下の馬車にも乗れず、私と馬の二人乗りも出来ないなら、もうこの街で辻馬車を借りて王城へ戻るしか方法はないのだから。
半眼になった殿下からの呆れた視線に耐えつつ私はゴクリと唾を呑む。
「何故?」
「お金がないからよ」
「何、そんなに高価なモンで欲しいものでもあったのか?」
はぁ、とため息混じりにそう言われ思わず頭に血がのぼる。
“なによ、侍女が体調崩してるってのに自分の買い物をしたがる女だと思われてるの!?”
少し見直したばかりだったせいか、なんだか無性に腹がたった私は思わず両手の拳を握りしめた。
「馬車を借りるんです! またミィナに体調を崩させるわけにはいきませんから!」
怒りのまま思わず怒鳴りつけるが、そんな私の態度も全く気にした様子なく平然としたアルド殿下が口を開く。
「そんなの、俺の乗って来た馬車に乗せればいいだろう」
至極当たり前のようにそう告げられ、苛立っていたはずの私はその怒りも忘れて唖然とした。
「い、いいんですか?」
どこか死んだような目を向けられ思わず怯むが、仕方ない。
“だってお金を持ってないんだもの!”
アルド殿下の馬車にも乗れず、私と馬の二人乗りも出来ないなら、もうこの街で辻馬車を借りて王城へ戻るしか方法はないのだから。
半眼になった殿下からの呆れた視線に耐えつつ私はゴクリと唾を呑む。
「何故?」
「お金がないからよ」
「何、そんなに高価なモンで欲しいものでもあったのか?」
はぁ、とため息混じりにそう言われ思わず頭に血がのぼる。
“なによ、侍女が体調崩してるってのに自分の買い物をしたがる女だと思われてるの!?”
少し見直したばかりだったせいか、なんだか無性に腹がたった私は思わず両手の拳を握りしめた。
「馬車を借りるんです! またミィナに体調を崩させるわけにはいきませんから!」
怒りのまま思わず怒鳴りつけるが、そんな私の態度も全く気にした様子なく平然としたアルド殿下が口を開く。
「そんなの、俺の乗って来た馬車に乗せればいいだろう」
至極当たり前のようにそう告げられ、苛立っていたはずの私はその怒りも忘れて唖然とした。
「い、いいんですか?」