愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
第二章:近付いて、触れて

11.進展したなら次は夜よね?

「絶対進展してるのよ」

 失礼極まりないあの初対面からは想像出来ないほどに進展している。

“正直なんでなのかはわからないけれど”

 彼から歩み寄ろうという気配はまだないが、歩み寄ろうとしている私を拒絶するつもりもないようだ。

「律儀に約束を守ろうとしてくれているだけなのかもしれないけど」

 それでも私にとっては大チャンス。
『愛人でも恋人でも好きに作って構わない』なんて言われ私とは距離を置く宣言をしていたのに、気遣いだったとはいえ今日なんて「仲の良さをアピールするのもいいだろう」なんて言葉が彼から飛び出したのだから。

 ――それに。


『セヴィーナ!』


 一度だけだが、彼が私の名前を呼んだ。
 たったそれだけのことが、私はとても嬉しかったもの。

「……うん、どう考えても進展してるわ」

 ならばここで攻めの姿勢を崩すのは愚策。
 相手が揺らいだその時こそ最大のチャンスなのだから!

「騎士の鼓舞をし、視察もしたわ。それは鼓舞じゃないと怒られたし視察も途中で帰ることになったんだけど」

 完遂は出来てないがスタートは切れている。

 となれば、次に私がすべきことは。

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