愛されていない人質妻ですが、敵国王子の溺愛を所望中!
 釣られて私も顔が熱くなるが、今はそんなことに構っている場合ではない。
 攻撃は最大の防御なのだ。

“ここで一気に仕留めるわ!”

「ジークが言っていたもの、男性のここを刺激するといいって! 揉んだり握ったり擦ったりするんでしょ!?」
「ちょ、いきなり何す……ッ」

 跨がったまま彼の下半身へと手を伸ばす。
 いつものがっしりとした衣服ではなく彼も寝具を着ていたためいつもより布地が薄く、何度か擦っていると少しずつ芯を持ち形がわかるように――

「そこまで!」
「えっ!」

 まさにここから、というところで両手を掴まれぽかんとする。
 まるで手を繋ぐように握ったアルド殿下が両手を掲げるようにしたまま立ち上がると、まるで幼い子供をバンザイさせるような体勢で私も立ち上がらせた。

「ここからがいいところなのに!」
「なんなんだその偏った知識は! ……じゃなくて、今日はもう寝る」

“まさかこのまま追い出す気!?”

 その可能性にハッとした私だったが、その予想は意外にも外れ、バンザイさせられたままアルド殿下は私を自身のベッドへと連れて行く。

「ここで2回戦開始ってこと……?」
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