キミのこと、好きでいてもいいですか?

か、可愛い!?


「その、クマさん」


千葉くんが、クマを指さす。


なんだ。可愛いって、キーホルダーのクマのことか……って! 私ったら、なんでガッカリしてるんだろう。


「あっ、あの! 千葉くん」

「何?」


千葉くんと視線がぶつかり、ドキッとする。


「あっ、あのね。この前、飛んできたサッカーボールから私のこと、助けてくれてありがとう」

「ううん。別に俺は、お礼を言われるようなことは何もしてないし」


微笑む千葉くんが、手を横にひらひらと振る。


「ねぇキミ、桜……好きなの?」

「え?」

「今日もこの前も、ずっと桜を見てたから」

「ああ……うん。私、春生まれで。桜は、昔から大好きなんだ。見てるとなんか癒されるっていうか。自分の名前にも桜って字が入ってるし」

「そうなんだ。俺も春生まれで、春に()けるって書いて、春翔(はると)って言うんだよね」


へぇーっ。千葉くんの下の名前、春翔っていうんだ。名前までかっこいい。


しかも、私と同じ春生まれなんだ。


「私は美しい桜って書いて、美桜っていうの」

「へぇーっ。美しい桜で、美桜ちゃんか」


千葉くんが、にこっと微笑む。


「でも、美しい桜だなんて。名前負けしてるよね。私、ちっとも美人じゃないのに……きれいな女優さんとかならまだしも」


ははっと、おかしそうに笑ってみせる私。
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