キミのこと、好きでいてもいいですか?

「はぁ、はぁ……っ」


慣れない下駄で走るのは、しんどい。


「あ、痛っ……」


無理をしながらしばらく走っていると、左足に強い痛みが走った。


左足が鼻緒擦れしたのか、親指の付け根が赤く腫れている。


足の指がじんじんと痛くて、涙が溢れてきた。


いや、足が痛いせいにしているだけで。


本当は、さっきからずっと泣きたいのを必死に我慢していたのかもしれない。


涙がこぼれないように、私は上を向く。


夜空には、カラフルな花火が次から次へと上がっては散っていく。


「綺麗……」


私は、近くにあった小さな神社の石段に、腰を下ろす。

土手からは少し離れているけど、ここからでも花火はよく見える。


けど……私、こんなところにたった1人で何をやっているのだろう。


せっかくの花火大会なのに。


「バカだなあ、私」

「……バカじゃないよ」


え?
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