キミのこと、好きでいてもいいですか?

永倉くんは、泣いてる私にハンカチを貸してくれて。足の手当もしてくれて。


その上、ミルクティーまで奢ってくれた。


今だって、黙ってそっと私の隣にいてくれて……永倉くんって優しいんだな。


真っ暗な空を彩る、こんなにも綺麗な花火を、たった1人で見なくてすんで良かった。


ドーン、ドドーン!


次々と、絶え間なく打ち上げられる花火。


今夜の花火大会も、そろそろクライマックスへと向かう頃だろうか。


「……永倉くんって、優しいね」

「そうかな? でも、俺は……誰にでも優しいわけじゃないよ」


永倉くんのほうを見ると、整った横顔が夜空の花火の色に光っている。


ヒューッ、ドドーン!


「美桜ちゃんは、俺の……だから」

「え? 永倉くん、今なんて?」


永倉くんの言葉は、ほぼ同時に上がった花火の音にかき消されてしまって、よく聞こえなかった。


「だーかーらー」


永倉くんの唇が、私の耳元に近づく。
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