キミのこと、好きでいてもいいですか?

「えーっと、誰もいないですか?」


実行委員が再び声をあげる。


それに対し、無反応な教室。


ただでさえ私は、走るのが苦手でプレッシャーにも弱いから。

個人で競い合う50m走と違って、クラスを背負ったリレーの代表なんて、できることならなりたくない。


……誰か、立候補してくれないかな?


教室を見渡してみるも、クラスメイトはみんな下を向いている。


誰かひとりくらい、手を挙げてくれたって良いのに。


「もし立候補がいなければ、推薦でもいいっすよー」


実行委員の男の子が困ったように言う。


ほんと、誰かいないのかな。


誰か……あっ。


私は、あることに気づいてしまった。
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