キミのこと、好きでいてもいいですか?

「はぁ……」


練習開始から、数日後の放課後。


相変わらずバトンパスが上手くいかない私は、グラウンドの隅のほうでひとりで練習していた。


どうして私だけこうもできないんだろう。

他のみんなは、ちゃんとできてるのに。


「……あれ、もしかして空?」


休憩でお茶を飲もうとしたところ、手持ちのペットボトルが空であることに気づいた。


そっか、さっき全部飲んじゃったんだ。


自販機はすぐ近くにあるけど、今はお金を持ってないから買えないや。


「はぁ……」


自分で自分にため息をついたとき。


「ひゃ……冷たっ!」


後ろから誰かに突然、頬に冷たい何かを当てられた。


「ははっ。どう? 練習進んでる?」
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