キミのこと、好きでいてもいいですか?
「ち、千葉くん……!」
私に声をかけてくれたのは、千葉くんだった。
「はい、これ。橘にやるよ」
笑顔で差し出されたのは、先ほど頬に当てられたであろう冷たいペットボトルのお茶。
もしかして千葉くん、私がお茶がないことに気づいて……?
「いや、いいよ。私、喉渇いてないから大丈夫」
私は、フルフルと首を横にふる。
本当は、喉カラカラだけど。
「俺に遠慮なんかしなくて良いよ。橘、こんなに汗かいてんじゃん」
千葉くんが、親指で私の頬を伝った汗を拭う。
「9月とはいえ、まだまだ暑いんだし。水分補給はしっかりしないと」
「でも……千葉くんに悪いよ」
「全然悪くない。俺は逆に、橘が倒れちゃうほうが心配だから。それとも……俺が買ったお茶は飲めない?」
「そんなことは……っ!」
「それじゃあ、もらってくれるよな?」
「う……」
千葉くん。そんな言い方、ズルいよ。
「ありがとう」
私は、千葉くんからペットボトルを受け取った。