キミのこと、好きでいてもいいですか?

「ごめんな。俺には……橘を幸せにする資格なんてないから」


私にそう言う千葉くんは、声が少し震えていて。何だか辛そうな顔をしている。


ねえ、千葉くん……どうしてそんなことを言うの?


私を幸せにする資格なんてないって、どういう意味?


いきなりそんなことを言われたって、訳が分からないよ。


目元に、涙がどんどん溜まっていく。


千葉くんの前でだけは、泣きたくなくて。


何とか堪えようとするけど、堪えきれなくて。冷たい涙が、私の頬を伝った。


「うっう……」


これ以上、千葉くんに泣き顔を見られたくなくて。


ここに彼と二人きりでいるのは、耐えられそうになくて。


私は何も言わずに、その場から走り出す。


「橘っ!」


最初の告白のときと違って、千葉くんが私の名前を呼んでくれたけど。


私は足を止めることなく、ひたすら走り続ける。
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