キミのこと、好きでいてもいいですか?
︎︎︎︎14. 取り戻した記憶
──私には昔、大好きな男の子がいた。
小学2年生の頃。内気でおとなしかった私は、よく同じクラスの男子にいじめられていた。
ツインテールの毛先を手で掴まれ、思いきり引っ張られたり。物をどこかに隠されたり。
この日の学校の帰り道でも、私はいじめっ子に絡まれていた。
『ねえ、坂本くん。返してよぉ』
『やーだね。返して欲しけりゃ、自分で取り返してみろよ』
そう言って私のお気に入りのキーホルダーを、私の手が届かない高いところまで持ちあげる坂本くん。
坂本くんよりも背の低い私は、どれだけ頑張ってもキーホルダーに手が届くことはなくて。
坂本くんや取り巻きの男子たちに、ゲラゲラと笑われるだけ。
『うっ、うう』
自分では取り返すこともできず、私がひとりで泣いていたそのとき……。