キミのこと、好きでいてもいいですか?

『話すのは、初めてかな? 俺、先月隣のクラスに転校してきた、千葉春翔っていうんだ』

『千葉……くん?』


言われてみれば、先月隣のクラスにイケメンの転校生が来たって噂になってたな。


『キミは?』

『橘美桜……です』

『美桜かあ。よろしくな、美桜!』


人懐っこい笑みを浮かべ、私に手を差し伸べてくれる彼。


『よっ、よろしく……千葉くん』


人見知りの私は、ドキドキしながら自分の手を彼の手に重ねる。


『春翔で良いよ』

『え?』

『名前! 俺は美桜って呼ぶから、俺のことも気軽に春翔って呼んでよ』

『えっと……』


当時、男の子の友達がひとりもいなかった私。

だから、出会って間もない子のことを、いきなり呼び捨てにするのはハードルが高くて。


『それじゃあ……“春くん”って呼んでも良い?』

『もちろん!』


無邪気な春くんの笑顔に、胸がドキッと高鳴る。


『今日から、俺と美桜は友達な』

『友達?』

『ああ。俺、いま友達100人目指してるところだから。よろしく!』
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