キミのこと、好きでいてもいいですか?
その日以来、春くんは学校で会うと私に必ず声をかけてくれるようになった。
『おはよう、美桜』
『お、おはよう。春くん』
聞いた話によると、春くんはいじめっ子の坂本くんたちと同じ少年サッカーのチームに入っているらしい。
坂本くんは、サッカーがすごく上手な春くんに一度も勝てたことがないみたいで。
春くんのことが気に食わない坂本くんは、一度春くんに殴りかかろうとしたが、反対に殴り飛ばされてしまったんだとか。
それ以来、坂本くんは春くんに頭が上がらないのだという。
春くんはサッカーが上手というだけでなく、誰にでも気さくで正義感が強くて。
私が坂本くんに絡まれていると『俺の友達をいじめるヤツは、許さねー』と言って、いつも春くんが守ってくれた。
かっこよくて優しい春くんは、私にとってのヒーローだった。
そして、たまたま私と春くんの母親同士が友人だったこともあり、学校以外でも春くんと会う時間が増えていき……。
私は自然と、彼に惹かれていったんだ。
だけど、春くんと出会って3年が経つ頃。
小学5年生の3月。春くんはお父さんの仕事の都合で、北海道に引っ越すことになった。