キミのこと、好きでいてもいいですか?

その日以来、春くんは学校で会うと私に必ず声をかけてくれるようになった。


『おはよう、美桜』

『お、おはよう。春くん』


聞いた話によると、春くんはいじめっ子の坂本くんたちと同じ少年サッカーのチームに入っているらしい。


坂本くんは、サッカーがすごく上手な春くんに一度も勝てたことがないみたいで。


春くんのことが気に食わない坂本くんは、一度春くんに殴りかかろうとしたが、反対に殴り飛ばされてしまったんだとか。


それ以来、坂本くんは春くんに頭が上がらないのだという。


春くんはサッカーが上手というだけでなく、誰にでも気さくで正義感が強くて。


私が坂本くんに絡まれていると『俺の友達をいじめるヤツは、許さねー』と言って、いつも春くんが守ってくれた。


かっこよくて優しい春くんは、私にとってのヒーローだった。


そして、たまたま私と春くんの母親同士が友人だったこともあり、学校以外でも春くんと会う時間が増えていき……。


私は自然と、彼に惹かれていったんだ。


だけど、春くんと出会って3年が経つ頃。


小学5年生の3月。春くんはお父さんの仕事の都合で、北海道に引っ越すことになった。
< 147 / 162 >

この作品をシェア

pagetop