キミのこと、好きでいてもいいですか?
「春翔くんは今、手術中で……」
「手術!?」
「ええ。目撃者の証言によると、春翔くんが美桜を突き飛ばして。代わりに車の前に飛び出して、事故に遭って……」
事故にあった後、春くんは救急車で病院に運ばれ、すぐに手術となったそうだ。
お母さんから話を聞いた私はじっとしていられず、車イスでオペ室まで向かった。
オペ室の入口にある『手術中』のランプは、まだ赤々と光っていて。
近くのベンチには、深刻な顔をした春くんのご両親が座っていた。
「おじさん、おばさん!!」
「美桜ちゃん!?」
「ごめんなさい! 私のせいで春くんが……ううっ」
ご両親の前だというのに、堪えきれずに涙を流してしまう私。
「もし、春くんに何かあったら私……どう責任をとれば……っう」
きっと、一生かけても償えきれない。
「落ち着いて、美桜ちゃん。こうなったのは、誰のせいでもないわ」
「そうだよ。今は、春翔は絶対に助かるって皆で信じて待つしかない」
きっと、私以上に辛いはずなのに。春くんのご両親は私を一切責めたりすることなく、優しく声をかけてくれた。
そうだ。泣いてる場合じゃない。今はただ、春くんの無事を祈るしかない……。
私はどうなっても良いから。神様、どうか春くんを助けて下さい。