キミのこと、好きでいてもいいですか?
「それじゃあお母さん、1階で退院の手続きをしてくるから。春翔、美桜ちゃんと待っててくれる?」
「わかった」
春くんのお母さんが病室を出ていき、私は春くんと二人になる。
どっ、どうしよう……気まずい。
突然訪れた春くんと二人きりという状況に、暑くもないのに額には汗がにじんで、心拍数も速くなる。
「なあ、橘。俺、ベッドで寝てばかりいたから。運動がてら、少し歩こうと思うんだけど。付き合ってくれる?」
まさかの春くんからのお誘いに、私は素直に頷いた。
それから二人で病室を出て、無言で廊下を歩く。
人気のない廊下には、私と春くんの足音だけが響き渡っている。
……えっと。何か話さなくちゃ。