キミのこと、好きでいてもいいですか?
言葉が鋭いトゲとなって、胸に食い込む。
「……そう、だよね」
春くんに、こんなにもキッパリと拒否されたのは初めてで。何も言えなくなる。
最初からダメ元で、答えなんて聞かなくても分かっていたはずなのに。
「…っ」
涙で、視界がぼやけてくる。
「俺は、橘を泣かせてばかりだな」
「ごっ、ごめ……」
今日は、春くんが退院するおめでたい日だから。何があっても、泣かないでおこうって思っていたのに。
「私、これからはもう二度と春くんに近づいたりしないから。安心して? それじゃあ……」
私が、春くんからそっと離れようとしたとき。
「俺に近づかないとか、そんな悲しいこと言うなよ」
気づいたら私は、春くんに後ろから抱きしめられていた。
えっと……?
一瞬、何が起きたのか分からなくてソワソワしてしまう。
「は、春くん?」
「俺は、美桜のことが好きだ」