キミのこと、好きでいてもいいですか?

「この際言わせてもらうけど。美桜が今その手に持ってるペットボトル、今日で買うのいったい何本目?」

「ええっと……」


何本目だろう。正確には分からないくらい買ってるかもしれない。


「部活終わりの千葉くんに渡すって言って、いつもそこの自販機でスポーツドリンク買ってるけどさ。美桜、渡せたこと一度だってある?」

「そっ、それは……」

「渡せたこと、ないよね? 千葉くんに渡せずにぬるくなったそれを、美桜いっつも家に持って帰って飲んでるじゃない。たまに、あたしも協力してあげてさ」


うっ……。


本当のことで、何も言い返せない。


ピピーッ!


「それじゃあ、今日の練習はここまでーっ」


香菜と話しているうちにホイッスルが鳴り、部活の終わりを告げる顧問の声が響き渡った。


「あ、練習終わったんじゃない? ほら、美桜。出遅れる前に、早く行っておいで!」

「え。ちょっと、香菜!? って、わわっ」


私は突然、香菜に後ろから背中を思いきり押されてしまった。


そのせいで私は、他のファンの子たちよりも一足早く、千葉くんの前に飛び出す形になってしまった。
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