キミのこと、好きでいてもいいですか?
早足で校門へと向かっていると、頬に冷たい雫が落ちてきた。
やがてそれはどんどん勢いを増していき、ザーザー降りの雨となる。
私は雨に濡れるのも構わず、その場に立ち尽くす。
「……っうう」
私、千葉くんに振られちゃったんだ。
失恋したんだ。
学校では泣きたくなかったのに。
堪えきれなくなった私の目からは、次から次へと涙が溢れ出てきて止まらない。
でも、大丈夫。今は雨で顔がびしょ濡れだから。
私が泣いてるってことは、きっと誰にも気づかれないで済む。
「……っ、う〜っ」
私は、ここが学校だってことも忘れて涙を流し続ける。
高校に入学してからこの8ヶ月もの間、ずっとずっと千葉くんのことが好きだった。
千葉くんに恋をしてから、毎日が楽しくて。
千葉くんのお陰で、苦手な学校だって頑張れた。
こんなときでも真っ先に思い出すのは、千葉くんの陽だまりみたいな笑顔。
願わくば、大好きな彼の笑顔を一番近くで見たかった。
“千葉くんの彼女”という、そんな未来があったら良かったなあ。
「……美桜?」
すると突然、雨が当たらなくなった。