キミのこと、好きでいてもいいですか?

急げ、急げっ。


私が、走るスピードをわずかに上げたとき。


ちょうど後ろから自転車に乗った男の子が、私の横を通り過ぎて行った。


あれ? あの人って……。


たった今、自転車で私を後ろから追い抜いていった男の子。


その人は、私と同じ高校の制服を着ている。


横顔からでも分かるくらいの整った顔立ちで、颯爽と自転車を漕ぐあの人を私はよく知っている。


間違いない、千葉くんだ……!


でも、なんでこんな時間にサッカー部の千葉くんが登校してるの?


あ。もしかして今日は始業式だから、いつもの部活の朝練はお休みなのかな?


私があれこれと考えているうちに、自転車に乗った千葉くんの後ろ姿がどんどん小さくなっていく。
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