キミのこと、好きでいてもいいですか?
えーっと……。
「あの、後ろに乗ってというのは?」
「そんなの、俺の自転車の後ろに決まってるじゃない」
千葉くんは自転車の後ろの荷台を指さすと、私の頭に自分のヘルメットをかぶせてくる。
ちょっ、ちょっと。千葉くん!?
「だって、このまま走ってても橘さん、高確率で遅刻すると思うから」
「いやいや。だとしても、さすがに乗せてもらうのは悪いよ。だって私、千葉くんとはクラスメイトとか友達でもないし」
そして何より。この前、私は千葉くんに一度振られちゃってるから……気まずいよ。
私は、両手をブンブン振って全力で断る。
「私は、このまま走っていくから気にしないで。それに、そもそも自転車の2人乗りって禁止されてるんじゃ?」
「確かに、自転車の2人乗りはしたらダメだけど。今、そんな真面目なことを言ってる場合? 新学期早々、遅刻してもいいの? 反省文、山ほど書かされるよ?」
「うっ」
そりゃあ遅刻するのは、嫌だけど。
「どちらにしても俺はキミのこと、このまま見過ごすなんてできないよ。ここで会ったのもきっと何かの縁だろうし。さあ、乗って!」
ほんとに良いのかな……?