キミのこと、好きでいてもいいですか?
「橘さん、早く!」
ルールを破るのは、良くないけど。
千葉くんが、せっかくこう言ってくれてるんだもの。
善意を、無駄にしたらダメだよね。
「し、失礼します」
私は、少し傾けてくれている自転車の後ろに乗る。
こんなことをするのは、今日だけだから。
警察のみなさん、ごめんなさい……!
「飛ばすから。しっかり俺につかまっててよ?」
「はっ、はい!」
私は、慌てて千葉くんの腰に腕を回してしがみつく。
その瞬間、ふわっと良い匂いが鼻をかすめた。
……良い匂い。なんだろうこれ、シャンプー?
ていうか、今更だけど。後ろから千葉くんに抱きつくなんて、めちゃくちゃ恥ずかしいっ。
「いい? 行くよ」
千葉くんが、私がちゃんとつかまっていることを確認すると、私を乗せた自転車はゆっくりと動き出した──。